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◎ 間違いだらけの「経済理論」

以下の命題は真ではありません。です。


○ 命題1 「政府と地方公共団体の債務は千兆円をはるかに超えた。これは、子供や孫など子孫に莫大な借金を負わせるものである。」

□正解□ これほどひどいデタラメ・デマを流すマスコミには重大な責任があります。政府と地方公共団体の債務は1000兆円を超えたましたが、外人買いは少なく、その95%強は日本国民が国債や地方債の所有者です。(日本法人を含む)日本国民は債権者なんです。
(仮に法人出所有分を除いて考えると)この債権950兆円は子供や孫に相続されます。債務の相続だけを観るのは一面的です。仮に公的債務が2000兆円になったしても、その5%の100兆円が子供や孫に相続される純債務です。(債務2000兆円-債権2000兆円×0.95=100兆円)
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○ 命題2 「政府と地方公共団体の債務は千兆円をはるかに超えた。これは非常事態である。よって、消費増税などして財政再建を第一義的に重視すべきである。」

□正解□ デフレ下での増税はかえって税収を減らします。財務省の官僚もこの点100も承知です。彼らは国民の利益よりも省益を重視しています。財政再建のためには、経済成長のみが特効薬です。経済成長のためにはデフレ退治が必要です。「財政再建」ではなく「デフレ対策」に、プライオリティーをおくべきです。これについては後述します。デフレ対策成功 → 経済成長 → 税収増大 → 財政再建というコースが王道です。
 野田前総理は、経済をプラスとマイナスの小学生並みの「算数」で考えておりました。経済は勢いが強いか弱いか、加速度がどうかの「微分と積分」で考えねばなりません。
 その昔、橋本内閣の時代に消費税を3%から5%に上げて国民から約9兆円を国庫に吸い上げました。これにより、上向きかけた景気は腰折れになり税収は逆に減りました。
 今度の消費増税案では国民から約13兆円ものマネーを吸い上げると予測されます。日本経済の破綻が心配です。
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○ 命題3 「政府と地方公共団体の債務は、千兆円をはるかに超えた。GDP比では200%を越えてしまった。これはギリシャより悪い。やがて日本はギリシャと同様に破綻する危険がある。」

□正解□ 第1に、ギリシャは外国から借金しています。(その金利は約23%、ユーロ建て)日本国は、海外から借りている借金が330兆円で、逆に海外に574兆円貸しています。国家として観ると、差引244兆円以上の純資産があります。この額は巨額で、世界一の金持ちと言えます。つまり政府等は赤字でも、国家としては黒字なんです。日本とギリシャは真逆の関係です。国家全体として観ると、ギリシャは破綻国家で日本は金満国家なんです。

 第2にギリシャ政府には通貨発行権がありません。日本政府には通貨発行権があります。したがって、もし国債未達が起きたとしても日銀がこれを引受け、替わりに通貨(円)を発行することができます。

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○ 命題4 「日本の財政赤字がさらに深刻化した。日本国債暴落の日が間近に迫っている。」

□正解□ (1)デフレのままで、長期金利が現在の0.8%から3%程度まで上昇したと仮定します。この程度なら、政府が目指す経済成長と物価上昇が実現すれば起こりえる利上げです。そうすると10年国債で2割程度、価格は下落するでしょう。「暴落」です。
 しかし、現在のようなデフレの状態で長期金利が3%まで上昇したら、恐らく多くの機関投資家は、喜んで日本国債を買いにくるでしょう。インフレにも好景気にもならずに国債の価格が大暴落するというシナリオは、なかなかイメージしにくいのです。可能性の低い想定です。

(2)
2%~4%のインフレになり好景気になった場合、市中金利が上がり国債価格は下落し、それに応じて銀行はダメージを受けます。しかし銀行は他の債権で利益を受けますし、政府は税収が増えて喜ぶでしょう。

(3)2%~4%のインフレになったが、しかし不況が継続する場合、つまりスタグフレーションの場合は、かなり問題です。別稿に譲ります。
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○ 命題5 「日銀の白川総裁は『物価1%上昇を目途にする。』と述べました。
 これは、インフレターゲットの採用を意味する。」

□正解□ これは「インメド」であってインフレターゲットではありません。インメドはコミットメントではありませんので、1%上昇が達成されなくても日銀総裁には何らの 責任も問われません。
 インフレターゲット(「インタゲ」)とは、年2%~4%の「弱いインフレ」を目標にするものです。その不達成に対しては政治的責任などが発生します。インフレターゲットを追求するのが、正常かつ王道です。
 日本以外世界中のほとんどの国がインフレターゲット政策を採っています。(もっとも日本以外の国々では強いインフレを押さえ込むという意味で「インタゲ」という言葉を使用しております。)
白川総裁は責任を負いたくないため、「インタゲ」ではなく、「インメド」なる言葉を造語したのです。また、「1%」は低すぎます。「2%から4%」のインタゲが正解です。
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○ 命題6 「物価指数はゼロが望ましい。ゼロならばインフレでもデフレでもない。」

□正解□ インフレーション(inflation)(以下「インフレ」と言います。)とは、モノやサービスの全体の価格レベル、すなわち物価が、ある期間において持続的に上昇する現象です。物価が年5%以上も上昇する場合は、「強いインフレ」とも言えます。これは病気で発熱した状態です。それ以下の2%~4%の「弱いインフレ」は体温36度の健康体に例えられます。

 インフレ率0%は健康体でしょうか。いえ、低体温症で不健康です。労働生産性は平均すると数%向上します。供給能力が数%増えます。需要が同じだと数%物価は下がり、デフレスパイラルに入りそうになります。これを相殺する数%の弱いインフレが丁度ニュートラルな物価水準なのです。年2%~4%の弱いインフレは消費性向を増し経済を活性化させます。

 物価指数ゼロは、景気を犠牲にしがちです。けだし労働生産性プラス分だけデフレが起き始める傾向があるからです。デフレによる不景気になれば、物価指数ゼロはすぐ物価指数マイナスに転じます。

 物価指数はプラス2%~4%のインフレターゲットが望ましいのです。その証明はノーベル賞受賞者のクルーグマン教授が「ベビーシッターモデル」(クリックすると概要に飛びます。)でしております。クルーグマンのこの証明は正しいのですが、強い反発があります。つまり「貨幣価値が低下すれば、自分たちの資産が減るのではないか。だから景気よりも物価安定」が望ましいとう反発です。

 しかし、「物価安定」と「好景気」は二者択一です。そしてインタゲによって「自分たちの資産」も増えるのです。

 「物価安定=インフレ率ゼロ」はデフレをおこし、最終的には、資産デフレをまねき「自分たち資産」は減るのです。

 現在の日銀は好景気よりも「物価安定=インフレ率ゼロ」を目指しております。(物価安定を維持したうえで上でインメド1%を目標にしておりますが、それは木によって魚を求める類の暴論です。その言葉自体が矛盾です。
 物価安定を破棄したうえでインタゲ4%を目指し、デフレから脱却したらインタゲ2%に変更すべきです。

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○ 命題7 「日本は輸出立国で、輸出大国である。最近、円高のせいで貿易収支(輸出-輸入)が赤字となったが、これは日本経済を根本からゆさぶる たいへんな危機である。」

□正解□ 韓国は輸出立国です。日本は輸出立国ではありません。日本は内需の国であって、外需の国ではありません。
 アメリカで日本製自動車が目の敵とされたのは、はるか数十年昔の話しです。輸出はGDP比で15%~17%程度にすぎません。
 日本の貿易収支はゼロ又はマイナスです。しかし、海外投資によって巨額の所得を獲得しており、経常収支は黒字です。
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○ 命題8 「命題7の回答が正しいのなら、円高を放置してもかまわないことにならないか。円高で輸出産業の利益が減少してもかまわないのか。」

□正解□ サービスを除くモノでの対GDPでの日本の輸出比は15%にすぎません。これらの輸出産業は、日本の基幹産業です。工作機械・鋼鉄・自動車・炭素繊維・IC・精密機器・高張力鋼板などの基幹産業は輸出産業で、下請け・孫請け・協業既企業を含む広いすそ野を持ち、たくさんの労働者がこれに関連しています。輸出企業会社が倒産するということは日本の産業の土台・基礎が壊れることを意味します。輸出企業が海外に工場を移転すると、大勢の労働者が失業します。

 輸出額は少なくても輸出産業自体は、国内で発展してくれないと困ります。輸出産業は基幹産業であり下請けなど広いすそ野を持っております。輸出産業は工場をどんどん海外へ逃げ出し、空洞化が進んでおりますが、これ以上空洞化を進めると日本国内での雇用が減少し、内需が減り、不景気になります。

 このためできるだけ円安にする必要があります。円安にする必要は国内の雇用確保のためであり、貿易収支黒字化のためではありません。
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○ 命題9 「日銀の国債買い入れは、日銀法に触れ、禁じ手である。」

□正解□ 国会の議決を経れば可能です。そして、「予算」という国会議決の法律で日銀の国債買い入れは数十億も毎年毎年、承認を得ており、現実にこの枠の範囲内で日銀の国債買い入れが行われております。

 野田前総理が選挙演説で安倍総理を次のように批判しておりました。「安倍氏の言う日銀の国債買入は暴挙である。」野田前総理は自分が作成した予算書を良く読んでいないようです。
 国債の日銀引き受けが禁じ手であるというのは誤りで、日銀引受が毎年行われております。今年度も借換債17兆円の日銀引き受けが行われています。
 ちなみに、財政規律の観点から、今年度の日銀引き受けは30兆円の枠になっています。仮に建設国債5兆円を全額日銀が引き受けたとしても、借換債17兆円と合わせて22兆円なので、何の問題もありません。法改正なしでできる話です。
 野田前総理が日銀の国債引受を「暴挙」と言うなら、毎年「暴挙」が為され、「暴挙」がルーティーン化されていたことになってしまいます。

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○ 命題10 「日銀がマネタリーベースを増加したところでマネーサプライは増えない。なぜなら、金融機関は貸せる先がないからである。現状でも預金があり余っていて、これ以上マネタリーベースを増やしたところで効果はない。つまり量的緩和政策は効かない。」

□正解□ 現在の日銀のマネタリーベースの増やし方・やり方が問題です。金融機関は日銀に決済のため当座預金を持っております。日銀がその当座預金残高を増やすと、自由に使える手元資金量が増え貸付を増大させることが可能となります。白川総裁は当座預金残高を増やす方法を量的金融緩和政策と言っており、日銀は充分過ぎる量的緩和政策を採っていると表明しています。従来の正統的金融論から見るとこれは正しいのです。従来の正統的金融論がもう効かないのです。金融機関にとっては優良貸出先が少ないので、その預金残高を増やしても効果はあまりありません。このやり方は金融緩和と言えるでしょうか。預金のみを増やすのは偏った量的緩和政策です。(金融機関の当座預金残高が減少した場合は、日銀がその減少分を補填するという意味で無制限とすべきです。)

 日銀が市中から株式、リート、CP、社債、日本国債、アメリカ国債を購入して直接現金を流出すればマネーサプライは確実に増えます。この新しい政策を採るべきです。

 リフレーション(reflation)政策とは、不況下における設備の遊休あるいは失業を克服するため、主として金融緩和政策、財政政策も併用して有効需要を創出することで景気の回復をはかり、他方ではデフレから脱却しつつ強いインフレの発生を防止しようとする政策のことです。

 言い換えれば、緩やかで安定的なインフレ、すなわち年率換算にて2%~4%程度の弱いインフレにとどめようとする政策です。

 リフレーションは「リフレ」と呼ばれ、「通貨再膨張」とも訳されます。このリフレ政策を採るべきです。(リフレの是非に関しては激しい論争があります。後述します。)
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○ 命題11 「現在の日本の不況は有効需要の不足である。公共投資拡大か減税あるいはその組み合わせによる財政政策がメインとなるべきである。」

□正解□ 小渕内閣のときに公共投資を急増させました。結果は巨大な財政赤字が累積しただけでした。

 固定相場制度の下ならこのケインズ政策は有効なのですが、変動相場制の下ではこのメカニズムはは働きません。
 まず、財政支出を拡大すると、お金の量が増えない限り、政府と民間との間でお金の取り合いが起こり、その国の金利水準に上昇プレッシャーがかかり、金利が上がり始めます。
 すると、海外の資金が日本国内に流入し始めます。それはとりもなおさず、外貨が売られて円が買われる訳です。よって円高になります。
 円高になると、輸出が減り、輸入が増えるという形で、国内経済にマイナスの影響を与えます。
 その結果、当初の財政支出拡大の効果が相殺されてしまうのです。

 せっかくつぎ込んだ公共投資の成果たる甘いミツは、日本へ輸出をする外国が享受します。

 すなわち、大規模な公共事業 → 国債発行 → 市中のオカネ引き上げ(=金融引き締め)→ 金利上昇 → 為替円高 → 輸出減少 → 日本の愚策で外国が利益を享受  という連鎖が生じます。

 固定相場制の下ではあれだけ効果のあるケインズ政策が、変動相場制の下では、全く無力化してしまうのです。

 変動相場制の下では財政政策ではなく金融政策が主役にならねばならないのです。(マンデル・フレミング・サミュエルソンの理論参照)

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 他方、デフレ下では財政政策だけでは経済は回復しません。デフレ下では名目所得・名目消費が増えず国税収入は増えないからです。(財政赤字を減らす方法を採るとデフレが加速され税収は落ち込みます。)

 公共投資を中心とする積極的な財政政策は、景気回復のための必要条件ですが十分条件ではないのです。

金融政策がメインで、財政政策はサブなんです。
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○ 命題12「日銀の独立性とは、政府から独立して物価目標の設定を立てること及びその目標に対する手段を、政府から独立して選択する自由を持つことである。」

□正解□  日銀は「物価を1%を目途にインフレを狙う政策を採る。(インメド)」と表明しましたが、これはインタゲではありません。

 しかも、このインメド自体リップサービスであり、現実の行動はインフレ率ゼロを目指すデフレ容認政策としか考えられない政策を採っています。そして、インメドに失敗しても日銀総裁は何らの責任を負いせん。
 これは丁度、中学生のいじめ自殺に対して教育委員(会)が無責であるのと同一です。

 世界標準では、「物価目標の設定」は日銀の仕事ではなく、政府の政策です。政府がこれに失敗すれば政治的責任を負います。「物価のインフレターゲットは政府の仕事であり、その手段は中央銀行に任されます。

 目標設定と手段の独立性の分離すべきです。現在の日本がデフレスパイラルに陥っている責任は日銀の政策失敗によります。
(後述)

 「目標設定の独立性=政府、と その目標実現のための手段の独立性=日銀 ときれいに二分することには異論があります。目標設定を政府のみが行えば、日銀の取り得る「手段」は限られてしまうからです。しかしながら、日銀に過度な独立性を与えることは良いことではありません。日銀は過去に何回も繰り返し繰り返しミスを犯してきました。橋本内閣の消費税増税のように政府もミスを犯します。政府も日銀もミスします。日銀のミスは、いじめ問題における教育委員会のように国民の監視の目から遠いところにあり、責任を逃れられます。
 中央銀行の独立性の根拠は何でしょうか。中央銀行の任務は物価の安定です。中央銀行に独立性が無いと選挙を気にする政治家の言うこときき、中央銀行券を刷りすぎインフレを起こしがちになるために独立性が与えられました。現在の日銀は、日銀券を刷り足りず、デフレを惹起してのうのうと過ごしています。
 リーマンショック後、アメリカはドル札を3.5倍印刷しました。中国は元を4倍印刷しました。世界各国が自国通貨安競争をしているとき、円札は何倍刷られたか知ってますか。わずか5%増しです。これは、白川総裁のミスジャッジ以外のなにものでもありません。
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○ 命題13 「
日本経済は下図のように険しい尾根道を歩んでおります。」

(1)「尾根道を
 右に外し、日銀の(事実上の)デフレ容認政策が続行する無限のデフレスパイラルに陥ります。このデフレで日本人の生活は貧乏になり破滅に向かっております。

(2)尾根道を 左に外し、長期金利が上昇すると財政破綻という谷底に転落します。」


□正解□ 
尾根道を 右に外し デフレスパイラルになる危険はあるし、すでに、デフレスパイラルに陥っていると考えます。

 しかし、尾根道を 左に外し 長期金利が上昇し、ハイパーインフレになり財政破たんすることは、なかなか想定しにくいのです。(後述)

● 3方を壁に囲まれてて玄関口だけ空いている建物があり、その建物が玄関口から火災が発生し、読者がその建物の中に閉じ込められていると想像してください。

 火災はジリジリ奥へ進んできます。このままでは焼け死にます。助かる道は勇気をもって燃え盛る玄関口を突き走り抜けるだけです。

 国家財政は赤字が累積して現在燃えています。しかし、さらに赤字国債を発行しての今後約5年間に財政赤字による雇用を増やす景気対策をする必要があります。

 政府の公的債務が2000兆円になっても、財政破綻はおきません。(後述)
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○ 命題14 <金利上昇の危険> 
「2012年5月現在、金融機関が保有する日本国債は6百兆円を超え、国債発行額の66%にまで膨らんでいます。もし長期金利が上昇に転じれば、一転して大きな含み損が発生する可能性があります。

 長期金利は1%を切る歴史的な低水準で推移しています。   (最近10年間の日本の長期金利は0.5%~2.0%のあいだを上下しています。)市中金利が上昇したら、日本の財政は破綻するでしょう。
 
(甲) 日本経済が回復し資金需要が増えその結果金利が上昇すると、日本国債が売られる可能性があります。金利が急上昇することはあり得ます。1998年(=平成10年)12月に長期金利が0.6%から2.4%まで急騰しました。このとき、日銀はあわてて長期国債の買い入れ額を増やし、政府は発行する国債を長期モノから短期モノにシフトして、なんとか危機を乗り越えましたが、この方法でいつも成功するたはかぎりません。

 市中金利が上昇(国債価格が下落し)すると、日本の金融機関は評価損を立てざるを得なくなります。評価損をたて、赤字に転落すればBIS規制で自己資本を積み増さざるを得なくなり、体力の弱い地方金融機関から危機に陥っていき、金融システムに深刻な打撃を与える懸念があります。

 この場合、国債を増発して公的資金を金融機関に投ずる必要がおきます。

 また市中金利が上昇すると政府の予算の中に占める国債費が増加し、さらなる加重的な国債発行の必要が生じます。国債を発行する必要性に加速度がつきます。

 2012年2月14日朝日新聞によれば、42兆円分の国債を所有する三菱東京UFJ銀行は国債の価格急落に備えた「危機管理計画」を作っておりました。「数年後に価格が急落(金利が急騰)して金利が数%にはね上がり、損を少なくするために短期間に数兆円の国債を売らざるを得なくなることもある。」と考えています。国債の有力な買い手がいよいよ「急落シナリオ」を想定し始めたとも考えられます。他行も同様の「急落シナリオ」を想定して危機管理計画を建てていることでしょう。 
 
(乙) 国債未達が発生して長期金利が4%になった場合は明白です。金融機関は一斉に国債売却に走り、日銀が国債を買い支えるために日銀券を増刷するでしょう。この場合、実体経済に変化が無いのに紙幣だけが増刷されます。従来の国家の歳出の財源を維持するためにはさらなる一層の赤字国債の発行が必要になります。この国債を売却するためには国債の利子率を高く設定せねばなりません。

 これはインフレ悪循環です。適切な金融政策を採らぬとハイパーインフレに陥るでしょう。」

□正解□ 
 尾根道を左に外し長期金利上昇による財政破綻に陥る危険について
 
 経済理論では、長期利子率は名目GDP成長率(実質GDP成長率+期待インフレ率)になります。
 しかし、ギリシャ・スペイン・イタリアのようにこの経済理論では説明できない事態(リスクプレミアムが加算される場合)に遭遇する局面もあり得ます。

 日本は240兆円以上の対外純資産を有する金満国家です。(命題3の正解参照)日本にリスクプレミアムが加算される恐れは皆無です。

 国債未達が発生して長期金利が2%になった場合、金融機関はどう動くでしょうか。金融機関は国債の危険性に気づき、既に長期国債の保有率を下げ短期国債へシフトしています。市中の金利が1%上昇すれば短期国債は約1%値を下げ、長期国債は5%以上値を下げるでしょう。この程度の市中金利の上昇では短期国債は買われ、長期国債は売られるでしょう。


 市中金利が上昇する二つの道筋について考えます。一つは好景気になった場合、他は国債未達が起きた場合です。
 (A)前記命題14(甲)は市中金利が上昇するケースの一つとして好景気になった場合を想定しております。好景気になった場合は確かに資金需要が増えて市中金利は上昇します。

 しかし好景気になれば次第に税収が増えて国債の信認は強化されます。だいたい「好景気になれば財政破綻がおきる。」などと言うことは、とんでもない非常識です。前記の三菱東京UFJ銀行の「急落シナリオ」の場合、金利急騰により別な資産で大きな利益を得ているはずです。(A)の場合は「良き金利上昇」です。
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 (B)市中金利が上昇するケースとして、「不景気がひどくなり国債の信認度が減少して国債未達が発生した。又は景気は前と変わらないのに市中金利が上昇した。」というケースが考えられます。
命題14(乙)が該当します。(B)は「悪しき金利上昇」です。

 今現在スペインなど南欧の国は国債を売るために高金利をつけています。E U 諸国には通貨発行権がありません。日本銀行及び日本政府には通貨発行権があります。しかも日本は強いデフレ状態です。国債未達が起きそうな場合は、無理して国債を売る必要はありません。後述のボンド・コンバージョン政策を採用して非市場的な国債を発行する手もありますし、政府紙幣を発行する手もあります。
 
 少なくともこの10年間は、ハイパーインフレは絶対におきないようにすることができます。


 ハイパーインフレとはなんでしょうか。制御不能な高率のインフレと定義します。経済の提供可能な水準を超えて政府がシニョリッジ(通貨発行益)の獲得を図る時に発生します。この時、貨幣供給量が日銀にとって外生的に決まる状態になり、もはや日銀は物価を抑えこむことが出来なくなる状態です。シニョリッジ獲得のために貨幣を刷って名目貨幣残高を増やした場合、インフレを伴うのでシニョリッジは実質で見ると目減りすることになります。貨幣を刷るほどに、インフレによるこの目減りが加速度的に増加するため、政府が獲得可能な実質のシニョリッジには上限が存在します。

 仮に国債残高を現在の倍の2000兆円にしたら、ハイパーインフレが発生するでしょうか。

 マネタリ-ベースが増えればデフレが止まり円安になり、日本の主要な産業である輸出企業の利益は増加し、雇用が増え、税収が上がります。

 国内生産物の価格が急騰すればその当該品目の輸入が増えます。ギリシャと異なり日本は豊富な外貨を持っておりますので輸入に困って輸入品目の価格が急騰することもありえません。

 日本政府は約500兆円のを超える資産を所有し、毎年40兆円以上の利益を獲得できる能力があります。国債残高が2000兆円になろうともハイパーインフレはおきません。

 増税したり金融引き締めを行うなどマネタリ-政策を適切に行えばハイパーインフレは防げます。

 オイルショックのとき。物価は20%以上上昇しました。しかし、これはハイパーインフレとは言えません。制御可能でしたし、現実に制御しました。

 
本当に日本に財政危機があるのならば、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の数値が上昇するはずです。しかし、CDSは1.0%近辺で推移しています。わが国より格付けが高いフランスより恒常的にCDSの数値は低いのです。

 つまり、日本国内でデフォルト論が蔓延するほどには、マーケットはわが国の財政が危機的状況ではないと判断してます。

 下図はギリシャ、ドイツ、日本の経常収支の変遷をグラフ化したものです。青線のギリシャは経常収支が赤字です。ギリシャは通貨をドラクマに戻して、経常収支が黒字となるようユーロと均衡するまでドラクマの流通量を増やし=ドラクマを切り下げてはじめて経済が回復します。

 緑線の日本は経常収支が黒字です。日本政府の債務がどんなに増えようとも、国民の債権が増えるだけです。日本の貿易収支(輸出-輸入)は最近赤字になりましたが、海外投資から得る所得収支が大幅な黒字です。


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 尾根道を左にはずして転落しても、経常収支が黒字である限り、かすり傷ですむことがわかりました。(q.e.d)
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ではデフレにどう対処するかが問題です。
◎ もし、尾根道を右に外し、日銀のデフレ容認政策が続行すると、無限のデフレスパイラル(後述)に陥り、最後は財政破綻を招きます。(後述)日本の金融政策と財政政策は、丁度,神経のあいだの癌細胞を除去する脳外科医のメス使いのような繊細な手さばきが要求されているのです。国債増発に加速度がついておりますので、日本が歩む尾根の道幅はまだ広いのですが、先に行くに従い道幅はどんどん狭くなっております。時間との競争なんです。
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○ 命題15 「原発停止により、LPGなどの輸入のため「輸入>輸出」となった。よって円高は望ましい。」
 
□正解□ 円高は望ましくありません。円高は諸悪の根源です。

 第1に、日本経のデフレを加速し、経済を停滞させます。

 第2に、輸出の減少と輸入の増加は純輸出を減少させ、輸出企業そのものだけでなくその関連企業の業績も落ち込ませます。日本の場合、輸出企業は基幹産業であり、下請け協業者など広いすそ野があります。
 円高が進むと、海外の競合企業の商品やサービスが安く国内に入ってくるため、輸出以外の産業でも業績が悪化します。大企業の業績が悪化すると、そこに品物を納める中小企業の経営はさらに苦しくなる。日本の労働者の3分の2は中小企業で働いているため、悪影響は大半のサラリーマンに及びます。

 第3に、産業の空洞化と”シャッター通り”で表彰される日本における地方の疲弊を招きます。地方は都心よりも非熟練工のブルーカラー労働者が多いのです。地方に所在する工場は外国に移転し、従来国内工場に依存していた商店街に買物客はいなくなります。さらに海外に移転する経済力の無い零細企業にダメージを与え失業を増やします。
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 では、円高を止める方法は何でしょうか。
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○ 命題16 「円高を止める最善最強の方法は、財務省の為替介入又は日銀によるアメリカ国債の購入が最善の手段である。」
 
□正解□ 為替介入も効果はありますが、一時的な対症療法であり長く根治療法ではありません。根治療法はデフレをSTOPさせることです。

 為替介入は、やらないよりは断行した方が良いのですが、仮に30兆円介入しても、それほどの効果はありません。けだし、世界の為替取引額は、たった一日で30兆円~40兆円も動きます。1ケ月で900兆円を超える資本が為替取引での利益を求めて動き回ってます。

 30兆円程度の為替介入は、意図したほどの効果は得られません。もっとも為替介入で円が売られて国内の貨幣流通量が増えるのならデフレ対策になるので別な面で有用です。(円高を防ぐ目的は達成されなくも、マネーサプライを増やすという意義はあります。)

 日本でデフレが続く限り、長い目でみた円高傾向は変えようがありません。

 為替取引は高い金利を求めて動きます。
 
 預金金利など私たちが普段目の前に現れてている金利は「名目金利」です。これとは別に「実質金利」という考え方があります。

 それは、名目金利から物価上昇率を引いて算出されます。預金金利が4%と高くても、物価が1%上昇したら<3%>しか得してません。

 このように名目金利(4%)から物価上昇率(1%)を差し引いた実質金利の高いものを求めて、世界中のマネーが動いております。

 ドルの名目金利は1.6%・物価上昇率はほぼ1%です。1.6%-1%=0.6%が実質金利です。

 日本の”円”の名目金利はゼロ%ですが、実際は年2%近いデフレ状態です。

 日本政府の統計局の公表数値はアメリカのそれのようなバイアス調整を施していない不完全なものです。
 ワインシュタイン教授らは、ボスキンレポートの経験から米国のCPIにはふたつの主要なバイアス(代替効果バイアス、品質調整バイアス)が存在することを指摘し、米国の統計手法にあてはめれば同様のバイアスが日本の方がより顕著に見られることを指摘しています。日銀が金利上げ政策のベースにしているCPIは表向きはインフレであっても、1999年から20006年にかけては日本の公式統計の倍以上の深刻なデフレであり、また現状の日銀の言葉の「ゼロ近傍」などはまさにデフレどっぷりの状態であることを示す。と解しています。

 日銀はCPIのバイアス調整の問題を「枝葉末節の問題」として片付けており無視しておりますが、枝葉末節どころか、この20年間続くデフレをデフレと認識しない偏った見方の根源がここにあります。こうした偏見は重大な犯罪行為と考えます。

 ドルをドルのまま貯金すると1.6%-1%=0.6% が実質金利です。ドル建て金融資産を円建て資産に換えると ”0-(-2%)”=2% の実質金利がつきます。
 アメリカの名目金利は1.6%・インフレ率1%です。日本の名目金利はほぼゼロですが、日本のインフレ率がマイナス(デフレ率が高い)なので、日米間での実質金利差が存在する限り、円高は続きます。「日本の実質金利 > アメリカの実質金利」である限り、円高は続きます。

 円高が止める道はデフレをSTOPさせることに尽きます。
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◎ 日本国政府の公的債務はGDP比で何%なのか。

○ 命題17 A説 公的債務(粗債務)は1050兆円を超えました。この債務をもって財政危機を考察すべきである。けだし、このグロスの債務には将来の年金給付債務が含まれておりません。他方政府保有の金融資産には年金積立金が入っております。政府所有の金融資産の主要な割合いが年金資金などであり、将来の支払われる債務なのだから、政府保有の金融資産は考慮すべきではありません。公的債務のGDP比は200%を越えました。



□正解□ は命題18の後に述べます。
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○ 命題18 B説 日本政府は巨額の債務を持つ一方、巨額の金融資産等(金融資産約500兆円+売却可能な国有財産等数拾兆円と推定)を持っておりますので、純債務額で財政危機かどうか判断すべきです。結局、日本の公的純債務は450兆円です。結局イタリアより少し悪い程度です。公的債務のGDP比は120%程度である。日本政府倒産時の清算財産は500兆円~600兆円程度である。



□正解□
 C説 B説のような清算時の財産額を考えるのではなく、ゴーイング・コンサーン(継続体)として把握すべきです。

  さらに「年金債務と覚しきもの」を考慮すべきと筆者は考えます。年金・医療・介護に必要な債務を仮に670兆円と仮定します。この債務はバランスシートに計上されないオフバランスシートの数字ですので、はっきりしません。

 公的債務はA説の約1050兆円から為替介入のための100兆円を控除したもの等を勘案すべきです。けだし、変動相場制を採る以上、この制度は不要で、この100兆円は無駄です。諸外国に類似の制度はありません。

 さらに、「政府が出資した特殊法人の財産額+特殊法人への貸付額-特殊法人解散費用」が200兆円程度と推定されます。

 以上を勘案する920兆円(1050+670-500-200-100)と推定されます。

 A説と結論はほぼ同じになりましたが、この数字の算定方式が異なります。
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● 新たな問題


 前記B説の説明で掲示した青線の2006年ごろから最近までの傾きが気になります。

 この公的債務の「増加率」つまり「加速度」が増えていることが問題です。年金・医療・介護に必要な債務は10年後は、1400兆円とする説が有力です。この考えを考慮して、10年後の公的債務額を考えます。
 (国債は、実質的に毎年40兆円ずつ増えると予想します。単位は兆円)
国債4000+年金債務等1400-政府保有債権500-為替変動100-特殊法人200=4600

 なんと10年後の公的債務累計は4600兆円です。GDPを上げなければどうしようもありません。絶対に成長が必要です。 

 経済成長して、基礎的財政収支を黒字化せねば立ち行かなくなります。尾根道を左にはずし財政破綻する危険が顔を出し始めました。


 以上の事情を折り込んで日本国債の格付けは下がっているのにもかかわらず、日本国債の価格は上がっています。(=金利が下がっています。)これは国債バブルではないでしょうか。昭和の終わり頃、株と不動産はバブルになり1990年代はじめに終熄しました。株と不動産のバブルが姿を変えて「国債バブル」に変わったのではないでしょうか。

 国債バブルの原因の一つに挙げられるのが国債利払費の逓減です。高金利の10年ものの国債につき借り換え手続きをすれば利払費は一時的に逓減します。しかし、その後利払費は急騰し、平成30年には20兆円を超えるケースもあり得ます。経済合理性に反するバブルは必ず弾けます。国債バブルが続く時間が非常に貴重です。この貴重な時間を利用してデフレを克服し、経済成長政策を採り成功させることができるか否かに日本の運命がかかっております。
 
 では、どうしたら良いのでしょうか。それを解答する前に円高とデフレの関係を考察します。

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そして、日本国内のデフレを止める方法は簡単です。

○ デフレの弊害について
 
デフレ
円高を惹起するだけでなく、以下のようなデフレスパイラルを起こしかねません。

物価下落 → 利潤減少 → リストラ=失業増加 → 所得減少 → 消費減少 → 国民生産減少=国民所得減少 → 物価下落 → ------(以下同文)

 デフレによる不景気で不動産等の資産デフレを招きますし、住宅ローンで組んだローンの重みは年々増大します。するとローンの重みが増えた分だけ消費は減少します。ローンで購入した住宅価格は減少していますので、泣きっ面に蜂です。

 オカネに余裕があれば、モノを購入せずオカネのまま残した方がデフレ率分だけ得します。デフレでモノが安く買えるというメリットよりも、モノを買う原資となる所得の減少率が大きくなり、大勢が貧乏になります。つまり実質GDPが減少します。

 名目GDPも減少しますので税収は減少します。

 資産デフレにより可処分所得の減少にドライブがかかります。

 デフレ下ではモノを作っても売れないため設備投資が減ります。さらに、イノベーションがおきにくく
次代をになうべき産業育ちにくくなります。

 実質金利は、デフレ率分だけ高いので優良債権が不良債権に変わり金融システムは不安定になります。

 デフレ下では 税収減少 → 歳出削減の必要 → 歳出削減すればデフレ深化となる潮流もあります。

 日本では20年間続いたデフレのせいで年500万円の中間階層が年収300万円にスライドしました。この20年間でアメリカ・イギリス・フランスなど先進国の家計所得がおよそ2.5倍~2倍になっているに対して、デフレの続く日本だけが(名目比較で)マイナスになっております。昔は”一億総中流”と言われましたが、今は”一億総下流”になりました。

 政府が赤字国債発行による財政政策を行うと、財政赤字を懸念する国民は、現在の支出増によって将来の増税を避けられないものと考える。そうなると、たとえ減税や補助金などによって名目所得が一時的に増えても、それを将来の増税に備えて貯蓄してしまい、現時点の消費に回さなくなる。
 財政への不安から限界貯蓄性向が高まることは「リカードの等価命題」です。 
「合成の誤謬」のケースです。

○ デフレの原因・対策について


○ 命題19 A説 「人口が減少する社会ではデフレが必然的に起きる。」

□批判□ この説の主張者は、「生産人口の減少によって、クルマや家電・住宅などの値崩れがおきている。」と述べております。これはは相対価格の値下がりであって、「モノの値段全体(一般物価)が値下がりする。」というデフレの定義には当てはまりません。デフレかどうかを判断するのは「クルマや家電、住宅などの値崩れ」ではなく、IMFの定義によれば、消費者物価指数の前年同月比が2年以上連続して下落しているかどうかです。「クルマや家電、住宅などの値崩れ」のメカニズムを解き明かしてもそれは「デフレの正体」を解き明かしたことにはなりません。驚くべきトンデモ説です。 このような珍説が本になって出版されています。経済学の素養がないまま、かかる本を出版する勇気には感嘆します。
 人口が減少すれば労働力が減少し、供給力が減少し、物価が高騰するというインフレ促進の側面があります。
 さらに、人口減少はなにも日本だけではなくたくさんの国が人口減少で悩んでおります。しかし、人口減少国でデフレが起きているのは日本ぐらいなもので、逆にインフレに悩む人口減少国がたくさんあります。

 人口減少とデフレとは全く無関係なのです。
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○ 命題20 白川日銀総裁説 B説 この人の意見はクルクル変わります。典型的なのは、次のとおりです。「基本的に需要不足が原因である。日銀が日銀券を刷ってマネーを供給しても、物価を上げることはできないけだし、。物価はモノに対する需要と供給で決まり、いまの日本デフレは需要不足に基づくものだから、金融緩和では解決しない。」

 バブル崩壊後長い期間物価上昇率が欧米と比べて低いのは「先々の成長に対して期待が持ちにくく、実質的な所得が増えず、トレンドとして成長率が低下している」と指摘し、日銀には責任が無いことを表明。


□批判□  この人の発言は、いつもこうです。「日銀は全力を尽くしている。それでもデフレが収まらないのは日銀のせいではない。」と言いたいだけです。
 デフレの原因とデフレによってもたらされている事象とを区別すべきです。デフレだからこそ需要不足になる側面を見落としています。基本的に、「デフレ」と「需要不足」はトートロジー(同語反復)です。
 潜在的供給能力に比べて需要が足りずデフレギャップが発生していることがデフレです。

 「何故笑うのか。」と聞かれて、「あなたの話がおもしろかった。」と答えるのではなく、「唇がけいれんし、息がそれに合わせて断続的に吐かれた。」と答えるようなものです。

 そして、「トレンドとしての成長力の低下」は長期間のデフレが原因です。結果と原因を取り違えてはいけません。そして、この20年も続いているデフレの主犯は日銀の誤った政策のせいです。

 デフレとは何か。世の中のオカネの総量と世の中のモノの総量を比較して相対的にモノが多い現象として現れます。それががデフレです。貨幣の無い原始社会ではデフレもインフレもありえません。

 多くなったモノは希少性がなくなり、価値が下がります。逆にオカネの価値はデフレ率分だけどんどん多くなります。モノを買うよりも現預金でオカネを貯蓄している方が得です。

 だから、デフレを直すにはお金を増やせばいいのです。日銀がお金を多めに発行すれば、実質金利(=名目金利-インフレ期待率)が下がります。すると、現預金でオカネで持っているのは損です。

 そして、来年モノを購入するよりも、今年モノを購入する方が得です。すると、消費が活発になる傾向が発生します。究極的には投資してモノを作る動きが活発になり始めます。最後に景気が活発になります。
(このプロセスは、単純ではなく波乱に満ちたものです。後述します。)
 金融緩和するとインフレ期待が高まりますので実質金利が下がります。実質金利が下がるということを確認できれば、金融緩和が需要不足を補うことも確認できます。実質金利が下がると、資産市場である為替と株式市場は早く反応し、円安・株高となります。

  日米の大恐慌のデータから見ると、銀行貸し出しの増加は景気の回復から2~3年後に起きます。つまり銀行貸し出しは遅行指標であり、銀行貸し出しがすぐ出てこないのはあたりまえです。

 不況期では企業で内部留保などが多くなり、景気が回復しても当分の間は自己資金で設備投資をまかなうために、すぐには外部資金に依存しません。また、景気回復局面では外部資金に依存しないため、長期金利も遅れて上昇します。

 日銀がベースマネーを増やしても、すぐには民間企業の設備投資は増えません。シャープは亀山工場と堺工場に投資して大失敗しました。
民間企業の外部資金(借り入れ)による設備投資はものすごく慎重です。

 このため、日銀がベースマネーを増やす一方、政府が公共事業へ投資することが必要です。公共事業により、それに直接・間接に関連する労働者の所得が増え、公共事業に関連する投資が増えます。公共事業関連「投資」及び雇用と所得が増えた結果「消費」が増えます。

 増大した「投資」と「消費」が呼び水となって、自己資金による民間設備投資が増えます。

 これはさらなる「投資」と「消費」を増やし、最終的には外部資金による設備投資が始まります。
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○ 命題21 C説 「中国から輸入する工業製品が極端に安価だから」

□批判□
 それなら、中国から工業製品を日本よりたくさん購入しているアメリカ、ユーロ諸国こぞってデフレになるはずです。景気好調なオーストラリアは中国からの輸入割合いが大きい国です。
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○ 命題22 D説 GDPデフレーター(後述)の下落に表される日本の輸出産業の国際競争力低下が原因である。

□批判□
 GDPデフレーターとは、「名目GDP ÷ 実質GDP × 100」のことです。
  • 消費者物価指数が国内で消費される商品・サービスの価格の変化を示すものであるのに対し、GDPデフレーターは国内の企業の利益や労働者の賃金など所得の変化を示す指数であると考えられます。
  •  名目GDPと実質GDPはそれぞれ物価変動の影響を排除していないGDPと排除したGDPですから、その比にあたるGDPデフレーターは、物価変動の程度を表す物価指数であると解釈できる。従ってGDPデフレーターがプラスであればインフレで、マイナスであればデフレとなります。

 現在は確かに日本の輸出産業の国際競争力は低下しております。
 しかし、日本のデフレは20年続いております。西暦2000年頃のデフレが始まった頃は、日本の輸出産業の国際競争力は強かったのです。強かったにもかかわらずデフレに陥りました。また、日本の輸出依存度が低い(15%~17%程度)ことを考慮すると、この説は正しいとは思えません。


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E説 貨幣数量説 日銀貴族が日銀のB/Sの毀損を恐れて「正しい」量的緩和政策を採用しなかったことによるマネーストックの不足が原因であるという説。半分正しく、半分間違ってます。(後述)
 日銀は、民間金融機関が決済のために使う当座預金残高量を大幅に増やしました。民間金融機関は優良融資先が無いため、この当座預金を有効には使用しません。これは有効な量的緩和政策とは言えません。民間金融機関は余ったオカネで国債を購入します。これは一種のネズミ講です。

当座預金残高増 → 金融機関の国債購入 → デフレ終熄せず → 当座預金残高増 → (以下同文)-----
 国債がコケたら金融機関もコケます。これはタコが自分の足を食べて飢えをしのぐようなものです。国債という政府の借金1050兆円と国民の債権998兆円を相殺したら何も残りません。

流通貨幣量の増大は景気回復のための必要条件ですが、十分条件ではありえません。

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○ 命題23 貨幣数量説が正しいとすると、「ヘリコプターマネーによるバラマキ(子ども手当、農民補償)でも良いのか。」「 日銀がマネーをどんどん供給すれば、物価は上昇するかもしれないが、それは物価が上がるだけで実質GDPの増加には結びつかない。物価上昇で低所得層の生活が苦しくなけだけである。」

□批判□バラ巻いた貨幣がそれを必要とする事業者や消費者に有効に使ってもらう形になるかどうかは別の話になってしまう点に問題があります。乗数効果の低いバラマキは財政赤字を膨らませます。国債等の購入によって得られた資金をヘリコプターマネーにより配布された現金の相当部分は消費に回らず預金されます。雇用はさほど増えません。デフレが続くので第2回目、さらに第3回目のヘリコプターマネーを繰り返しますが事情は前と同じです。このような無駄遣いを5年~10年繰り返せば、数千兆円の赤字が累積し財政破綻を起こしかねません。金融政策は公共投資促進などの財政政策と合わせて行わなければ効果が無いのです。

 流通貨幣量の増大は景気回復のための必要条件ですが、十分条件ではありえません。

誤った方法
 ヘリコプターマネー → 将来を悲観的に観て大部分貯蓄 → 雇用がそれだけ増大せず → 消費のびず → さらなるヘリコプターマネ- → 財政破綻 → 国債売却のためその利子率高騰 → 国債費激増
 → 国債発行急増 M2+CDの貨幣量増大 → ハイパーインフレ となります。

正しい方法
 金融緩和+構造改革+規制緩和+有益な公共投資など雇用が増える公共投資 → 所得増大 → (雇用によるものなので)将来を楽観的に観て消費増大 → 売上増大 → 投資拡大 → GDP増大
 この道筋が正しい道筋です。

 総供給を高める構造改革・規制緩和など他の措置を同時に行うことが実質GDPを伸ばすため必要です。  国民生活について重要なのは、名目のGDPです。しかも金融緩和で実質GDPも増加します。実質金利が下がり、その後設備投資が増加します。設備投資は新技術を経済に取り込み生産力を向上させます。これは総供給を増やすので、実質的な成長につながります。
 国債等を購入した対価で政府取得分は有益な公共投資に費やすべきです。その場合の公共投資は単なる箱物造りではなく、国土強靱化等に費やすべきです。かかる公共投資により雇用が生じ所得が増えれば、その所得は消費にまわり、最後にはデフレから脱却する可能性があります。同時に、総供給を高める構造改革・規制緩和など他の措置を同時に行うことが実質GDPを伸ばすため必要です。

 財政政策と合わせた金融政策が必要不可欠なのです。
大幅なマネーサプライ増を行いデフレを脱却すれば、円高から円安になります。円安になれば日本の基幹産業たる輸出産業の興隆し、好況になり税収も増えます。
 金融政策は POLICY TO HELP(目先問題の一時的救済政策)が多いが、設備投資増を通じてPOLICY TO SOLVE(問題の根本的解決政策)にもなります。
 構造改革・規制緩和はPOLICY TO SOLVEだが、POLICY TO HELP 無しではできないのです。

 日銀にとって日銀券の発行は負債で、それに見合うものは借方の国債・株式・リート・CP・社債等です。日銀は国債の不良債権化を恐れて自分のB/Sの規模を大きくしたくないのでしょうが、日銀が自分の
B/S守るあまり日本国がデフレ破綻(後述)すれば、そのときは日銀自体が吹っ飛ぶのです。
 
 政府の債務額は1050兆円を超え、債務は500兆円に迫ろうとしています。しかし、デフレギャップを充たす範囲内ならでどんどん日銀券を印刷しても国債未達は起きにくいと考えます。「総供給能力>総需要能力」なら論理的に考えてハイパーインフレはおきる可能性は無いのです。

F説:政府紙幣発行説 日銀の腰が重く、しかもふらふら変わるので、あてに出来ません。そこで、デフレギャップ分だけ政府が紙幣を発行して日銀がこれを引受日銀券を余計に発行させるプランです。日銀が『保有する長期国債の総額を日銀券の流通残高以下に抑える』という現行の自主ルールを放棄しないのなら、このプランも有効です。第1に日銀の奇妙な自主ルールの放棄が一番重要で、それでも頑としてこのルールに固執する場合は最後の手段として政府紙幣発行という非常手段があります。これによってオカネが借りやすくなり、長期実質金利が下がるというメリットがあります。

G説:フローに課税するのではなく、金融資産のストックにも課税する説(金融資産税)。これは究極のデフレ対策です。銀行預金をすると利息がもらえるのではなく、税金を払う方法です。例えば100万円預金すると1年後は98万円に目減りして引き出しが可能です。また、現金をタンス預金しておいても2年おきに紙幣が切り替わります。紙幣切替費用として4%さっ引かれます。郵貯、簡保、現金、国債、地方債、政府保証債、円建ての預金、銀行の円建ての債務全般、これはデリバティブを含みます。

 この制度を施行すると金持ちは外貨買いや外国の預金に走るでしょう。これにより円は急落します。産業空洞化現象はとまり、在中国の日本企業が戻る可能性もあります。また、株式は非課税ですから株価は高騰します。また、不動産も値上がりします。しかも金利は上昇できませんので、国債価格は下落しません。金融資産税により税収は増えます。一石三鳥です。


○ 世界的デフレによる世界的大恐慌が起きようとしています
 ギリシャ・スペイン・イタリアの中央銀行には紙幣を印刷する能力・権限が無いため破綻するでしょう。
自国の金融政策を独立して行うという要件を欠く体制は、あたかも「金本位制のあしかせ」(ケインズ 後述)をはめているのと同じでデフレから脱却できません。また経済成長抜きの緊縮財政策一本建て政策は愚の骨頂です。
       
● 国際金融のトリレンマ:二つのことが同時に成立しないことをジレンマと言います。三つのことが同時に成立しないことをトリレンマと言います。国際金融のトリレンマとは以下の三つが同時に達成できないことで、理論的にも証明された命題です。
         1 為替の安定
         2 資本移動の自由
         3 金融政策の独立性
 日本やアメリカは変動相場制が適用されており、1の為替の安定が達成されていません。中国は2の自由な資本移動ができません。
 金本位制の場合やEU諸国の場合は金融政策の独立性が確保できません。EUは現代版の金本位制採用国です。スペインやイタリアはデフレ不況時にもっとデフレをひどくさせる政策を採らざるをえません。


 E U との貿易額が急減した中国経済は、急ブレーキがかかり、中国は、そのバブルがはじける瀬戸際にあります。中国経済が躍進するのに必要な資本は外貨と中国不動産の急騰に求められます。しかし、今は外貨が引き上げを開始し、中国の不動産は急落しそうです。資産デフレの始まりです。中国の不動産は、収益還元法(果実を適正利率で割った価格)から導出される価格よりもはるかに高くなりすぎました。

 アメリカはQE3までくりだして、不動産市況の維持に成功していますが、ドル札をリーマンショック以来3.5倍も刷ることは、財政赤字など何らかの歪みを発生させるでしょう。歪みが許容範囲内にある間に雇用を増加させる政策とドル高を防止する金融政策(ドル紙幣増刷)がかみ合えば成長を続ける可能性があります。

 この5年間のマネーストックの伸びはすさまじく、中国・アメリカは3倍・4倍もお金が増えています。日本は世界の量的緩和ブームに乗り遅れるばかりか、日銀の金融緩和は大ウソで金融緩和などほとんど行っていません。日本のみたった5%しか通貨が増えていません。あきれた話です。

○ 恐慌経済対策の歴史
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命題24 ルーズベルトと高橋是清の成功は、ケインズ的な財政出動の成果である。

□正解□ 財政政策は脇役であり、金融緩和政策こそが主役を果たした。ルーズベルトの金融政策は、途中で金融引き締めをするなど首尾一貫しないものであった。

第1  1929年の世界大恐慌 金本位制から離脱した国が順番に恐慌から脱出しました。
 不況 → 金を資産として保有する量増大 → 通貨としての金の量減少
 不況 → 貨幣供給量増大の必要 → 通貨量増大 → 自国通貨価値減少 → 金本位制維持困難
 結局、金本位制維持とは不況のときに、もっと不況になるような政策採らざるをえないこと。
 これを金本位制の足かせとよびます。不況のときは金融緩和政策が必要です。金本位制下で、貿易赤字などで不況になると金準備が減少します。通貨と金の兌換を維持するためにはマネタリーベースを金準備額と等しくなるまで減少させるという金融引き締め政策を採らざるを得なくなります。

◎ アメリカ 1929年FRBは急激な金融引締めを断行 → 株価急落
 フーヴァ-大統領は大規模な財政支出拡大を行い銀行支援政策も採用したが、金本位制というデフレ維持装置を外さなかった。ルーズベルトは金本位制から脱出したものの、第2次ニューディール政策では緊縮的財政政策と金融引締めを行い再度デフレに陥りました。調和のとれた金融政策と財政政策は実施されなかったのです。 
 従来の通説では、ルーズベルトと高橋是清の成功は、ケインズ的な財政出動の成果と考えられていましたが
、最近の研究ではこれは誤りで、「金融緩和政策こそが主役を果たした。」と変更されました。ルーズベルト大統領はGDPの5%にもなる30億ドルもの政府紙幣の発行を準備しました。(現実に発行されたのは全額ではなく一部でした。)デフレ期待からインフレ期待というレジームの転換こそが有効だったのです。

 ボンド・コンバージョンがこのとき採用されました。ボンド・コンバージョンとは 中央銀行がすでに購入した固定金利つきの非市場性の国債金利を、政府との協定(=アコード)によって固定金利から変動金利に変換し、インフレによる金利リスクを吸収することです。

 インフレが発生すれば、新規に発行する国債の表面金利は上昇することになります。すると、既発の低い利率の国債の価格がそれによって下落し、それを大量に保有している中央銀行のバランスシートを悪化させることになります。

 そこであらかじめ、そうなったときにも中央銀行のバランスシートが悪化しないよう、政府と中央銀行が協定を結んで懸念を取り除いた上で、中央銀行による国債の買い入れ額を増やしてもらうわけです。

 実際にインフレとなった場合、中央銀行が保有する国債の利子が変動することによって政府から中央銀行に支払う金利は増加することになりますが、同時にそれとほぼ同額だけ中央銀行から国庫への納付金を増加させ、政府と中央銀行のバランスシート内で損益の相殺を行うのです。
 

◎ 高橋是清の政策
 1927年(昭和2年)震災手形の不良債権化により「昭和金融恐慌」発生後、金本位制に復帰し「昭和恐慌」が発生しました。1割以上物価は下落し、実質成長率はほぼゼロになり、農産物価格の下落により農村は困窮にあえぎ、都市では失業者が急増しました。
 高橋是清蔵相は、以下の政策を実行しました。
(1)金本位制から離脱し変動相場制へ移行、(これにより円はドルに対して4割も下がりました。)
(2)大規模金融緩和策採用=新規国債引受という金融政策を中心にしてマイルドなインフレを実現し、さらに増税をしなかったのです。
(3)財政支出を拡大し、見事にデフレを終熄させた後、引き受けた国債の9割を市中で売却し貨幣を回収しました。(非不胎化政策)
 総理も兼ねた高橋是清が1932年(昭和7年)リフレ政策を明確に打ち出し以後4年間平均成長率7.2%の経済成長を遂げました。

◎ 1992年(平成4年)~2000年までの日本 8年間で130兆円もの財政赤字を積み上げましたが経済は好転しませんでした。大規模な公共事業は「マンデル・フレミング サミュエルソンの理論」により財政赤字のみ残しました。

 この場合、金融を緩和し金利を下げ、円安輸出増政策を併用すべきでした。というかこの金融緩和政策をメインにすべきでした。

◎ サブプライム危機 アメリカは大規模な財政政策を行うと同時にアメリカ史上初めて実質ゼロ金利政策を2008年末に採用し、量的緩和政策も採りました。この結果日米の金利は逆転しドル安誘導に成功しました。金融緩和を怠った日本に世界のマネーが集中し、円高になってしまいました。

○ 今 日本に必要な政策
1 日銀による長期国債、株式、CP、リートの30兆円~200兆円買入・インフレターゲットの設定 (金融政策)(株式、CP、リート、社債などはデフレという病が治癒されれば価格が上がり、日銀のB/S 自体は改悪されません。)長期国債等を日銀が買い入れて市中に円を流し、国債を売るのを止めます。非不胎化政策です。

 日銀がこの政策を採らぬ場合はボンド・コンバージョンのアコード又は政府紙幣の発行も視野に入れるべきです。
 日銀が長期国債の大量買い入れを拒むなら、日銀法を改正して政策委員の人事に政府・国会が介入できるようにすべきです。金融政策の目標と手段を分け目標は政府の仕事であり手段は日銀に任せそれぞれ責任を負うべきです。

2 政府の公共投資による雇用増大
(財政政策)(雇用増大
1.の金融政策と2.の財政政策は必ず平仄を合わせ並行して為されねばなりません。東北復興のための土木建築工事や日本全国の耐震工事及び傷んだ道路橋梁河川の工事が必要です。
金融政策が主役ですが、金融政策と合わせた財政政策が必要不可欠なのです。

3 政府の規制緩和による農業・医療・電力等の発展分野への 
  ”てこ入れ”
(雇用増大
 (農地法廃止など株式会社の農業・医療参入障壁の撤去 発送電分離7大電力会社の独占打破,耐震政策の  地方公共団体へ権限を任せる制度の変更等)

4 天下り廃止キャリア制廃止等公務員改革、及び郵政民営化等構造改革、医療保険制度の改革
 
● 公務員制度改革は何故必要か。在任中に特殊法人を作り、そこに天下る制度、特殊法人は金喰い虫で   補助金その他でどんどん税金を無駄遣いする。許認可業務を拡大し、民間企業の活力を吸い取る。
  ● ゆうちょは高金利で特殊法人に貸出ます。高金利のせいで特殊法人は赤字になります。それを補填す   るために特殊法人に補助金がでます。ゆうちょはこうして年間1兆円もミルク補給を受けていました。
  ● 現在、公共事業費は一般会計の6%~7%に対して社会保障費は一般会計の3割を占めます。その主   要な使途は医療保険等で約21兆円です。貧乏な筆者はこれにより多大な恩恵を受けておりますが、
   恩恵の受け過ぎの感をぬぐえません。

5 消費増税を先行しないこと(上記4実施後及びデフレ脱却後の増税は可)
  (国内での雇用を増やすため法人税減税で産業空洞化を防ぐ策も必要です。)
デフレ下で消費増税をするなんて、もっての他です。
とんでもない愚行です。デフレ対策とは有効需要を増やすことです。消費税で増税したら有効重要は減少し、デフレがひどくなることは明白です。増税しても経済のデフレ化および不況が進行して、税収はかえって減少するでしょう。「財政再建のために増税する。」というスローガンは完全なる誤りです。逆に増税により”財政再建は深まる”ということになります。(真実は、現在財政再建の必要性はそれほどはありません。)デフレ下では増税ではなくむしろ減税をすべきです。   デフレ下での増税とは、風邪をひいている患者に水風呂を勧めるような愚行です。きっと肺炎になるでしょう。水をお湯に変えるのが上記の政策です。
 復興増税も同じ性格を持っております。復興増税ではなく、建設国債を発行して日銀がこれを引受るべきです。
 現在は、昭和恐慌時と良く似ています。当時金本位制導入により市場に流通する紙幣量は減少しました。
高橋是清は金本位制から離脱し、日銀による国債買入を断行し、日本はいち早く世界的不況から脱出するのに成功しました。当時、金本位制から脱出した国ほどいちはやく恐慌から抜け出しています。ドイツのシャハトは巨額の公共投資を国債でまかない失業率をほぼゼロにしてしかもインフレを抑えました。模範的なケインズ政策そのものです。(現在の日本は自由貿易体制の利益を享受しており、必ずしもストレートにケインズ政策が有効なわけではありません。ヘクシャー・オリーンやサミュエルソンの定理参照)
 30兆円~200兆円と推定される巨額なデフレギャップの範囲内で、かつ雇用を増大させる有効重要創出策は有効です。

6 地方分権による成長戦略の実現 
 
中央統制ではなく、地方の実情に即したきめ細かな経済財政政策により日本経済を再生させる必要があり、そのためには税源を地方に移す必要があります。地方に移転可能な税源の筆頭は消費税です。

7 金融資産税の導入 
現金や預金という金融資産に対するマイナス金利であり、資産税課税です。前記「デフレの原因・対策について」のF説の実行です。


◎ 日銀のダッチロール
1987年(昭和62年)頃、急激な円高対策のため、マネーサプライ増加率を約10%にしたところ、株価と不動産価格がバブルになりました。

1989年(平成元年)日銀は、(事実上)土地バブル対策のため公定歩合を引き上げ金融引き締めを採用し、マネーサプライもほぼゼロになりました。これは、需要の急減を惹起し、急激な資産デフレも重なり、消費と投資は縮小し不況に陥りました。

1991年(平成3年)~1995年:日銀は金融引き締めから緩和へ転向しました。”too little too late”と批判されました。

1996年 橋本政権下では、緊縮財政+ゼロ金利政策 次の森内閣では財政拡大+ゼロ金利解除がなされました。まったくちぐはぐです。財務省と日銀が正面から対立し、相反する政策を採用したことになります。

1997年(平成9年)4月消費税増税を橋本内閣が実施しました。消費増税を実施した1997年度においては消費税収が約4兆円増えたが、2年後の1999年度には、1997年度比で、所得税収と法人税収の合計額が6兆5千億もの税収減にとなりました。
総額約10兆円の緊縮財政の影響や金融不況の影響もあり、1998年度には名目GDPは前年度比マイナス2%の503兆円まで約10兆円縮小し、GDPデフレーターはマイナス0.5%に落ち込んで、深刻なデフレ経済が蔓延する結果になりました。

1998年(平成10年) 橋下内閣の緊縮財政でデフレ発生 失業 税収減・景気対策での支出増 財政危機増 円高 空洞化

1999年(平成11年)2月ゼロ金利政策

2000年(平成12年)政府の反対押し切ってゼロ金利政策の解除 主要海外学者から猛烈な非難あびる。

2001年中原審議委員 量的緩和提案 民間銀行が当座に預けいる準備金額を数値目標として市場に資金を供給する方法提案し採用される。


2003年(平成15年)~2004年 32兆円もの為替介入(溝口介入)で不況脱出 =大失敗


2006年(平成18年) 日銀 実質デフレ下で 量的緩和の解除と利上げ


2006年度2007年度定率減税廃止(増税) 2007年の頭から景気減速そこにリーマン・ショック
アメリカはFRBの迅速かつ適切な対応でGDPがマイナス3.8%なのに
日本はその3倍ものマイナス


下図は日本の名目GDPの推移


下図はアメリカの名目GDPの推移


2009年(平成21年)11月 鳩山総理デフレ宣言

2009年12月政策転換 金融緩和

2009年末社債とCPの買い取り停止

2010年(平成22年)1月国債現先買いオペ翌日ものによる資金供給停止

3月CP担保企業金融支援特別オペ停止予定

2010年4月銀行保有株買い取り停止予定
 2009年と2010年のダッチロールは、なんとかして利上げして日銀官僚の天下り先の短資会社の利益確保を図ろうとしたものでしょう。


◎ バーナンキの処方箋

第1にリフレ政策です。すなわち過去のデフレにより生じた負のギャップを、高めのインフレ率(プライス・レベルターゲット)を数年間継続することによる埋め合わせします。そして、第2にその後の長期的なインフレターゲットの設定という第1と第2の合わせ技を行います。第3に将来の税負担の心配と現在の財政拡大のつながりを絶つ以下の方法をも採用します。

 財政政策だけのデフレ脱却は効果がない。いくら財政支出を増やしても国民が財政破綻を危惧して貯蓄性向を高めてしまえば乗数効果による総需要は増えません。(リカードの等価命題)

 そこで財政政策と金融政策を協調させ、日銀が新規発行の非市場性の長期国債買入額を増やし、政府はそれによって得た貨幣発行益を財政支出と減税に充当すれば良いのです。 インフレになれば新規発行国債の表面金利は上昇します。すると既発行の市場性のある低利率の国債価格は下落し日銀のバランスシートは毀損します。そこでそのようなインフレになっても既発行の国債の利子が増加して日銀のB/Sが毀損をしないようにするアコード(契約)する方法があります。(この場合、利子の増加分と同額を日銀から国に納付金を増額させ、政府と中央銀行のバランスシート内で損益の相殺を行います。)

 財務省が日銀保有の国債の金利を固定金利から変動金利に転換し、財務省が日銀に支払う利払いは日銀の財務省へ支払う納付金で相殺する方法を
ボンド・コンバージョンプログラムと言います。


○ 命題25 日銀は、保有する長期国債の総額を日銀券の流通残高以下に抑えるべきである。


□正解□
 日本銀行は、「『保有する長期国債の総額を日銀券の流通残高以下に抑える』という現行の自主ルールを放棄すべきである」とバーナンキは説いています。この日銀券ルールを裏付ける経済理論はありません。経済学による裏付けの無いルールをルールとして金科玉条のように守っているのは、きわめて不思議なことです。
 日銀は何故そのB/Sの毀損を恐れるのでしょうか。恐れる必要はまったくありません。普通の法人のB/Sの毀損に対する増資では、外部から資本を入れる必要がありますが、日銀の場合は銀行券の一部をデット・エクイティ・スワップ(debt equity swap 債務の株式化)をすれば良いだけです。

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◎アレシナ学説
 
ケインズによれば、財政再建には景気回復が必要で、景気回復には財政支出による有効需要の拡大が必要とされます。
 アレシナ教授はOECD諸国の財政再建の35年間分サンプルを多数採取し、思い切った歳出削減でも財政再建ができることを示しました。非ケインズ学説です。アレシナ教授の説は以下のとおりです。

(1)歳出削減と歳入拡大の比率は7対3にする。

(2)公共事業の削減ではなく、社会保障と公務員人件費の削減に切り込む。

(3)法人税と間接税を中心にした歳入拡大を図る。
 以上のアレシナ学説の根拠を考えます。

(1)について: 財政再建下では緊縮財政で、低金利です。財政再建の見通しが立つことにより、将来不安からくる消費と投資の抑制を解消することになります。(小泉政権下では、「基礎的財政収支」(プライマリーバランス(「税収」>「借入金の利払いを除く政策経費」なら基礎的財政収支は黒字でGDPに対する国債残高が減少)が改善されその赤字額が28兆円から6兆円まで下がりました。プライマリーバランスが改善され、あと数年で黒字になるところでしたが、リーマンショックで潰えました。)

(2)について:公共事業の削減に頼った歳出削減は、単に社会インフラ整備を延期したり 、新規の公共事業を先送りしたりするだけであり、実質的な歳出削減になりません。公務員人件費等は既得権的な要素が強く、それだけ無駄が生じている余地が大きい。民主党はそのマニフェストに公務員給与2割削減を掲げていました。これはすばらしいマニフェストです。ぜひ実行してほしいものです。政治的に最も抵抗の大きなところに切り込んでいくことによって、ようやく財政健全化に向かうと同時に、効率の改善が図られることになるというわけです。

(3)について:アレシナの法人税は法人税率の引き上げではなく、課税ベースの拡大によって、法人税収の拡大が図られています。(3)の間接税は消費税が念頭にあります。消費税増税は歳出削減の後に為されます。アレシナの研究は、歳出削減にウエイトを置いた財政再建の方が、平均的に見てその後の経済回復に及ぼすプラスの効果が大きいことまでも明らかにしています。

○ 命題26「消費税で社会保障を充実」というスローガン自体には誤りではない。

□正解□ このスローガンは論理的に間違っております。
 オカネに色はついていません。これは消費増税を無理矢理納得させるフレーズにすぎません。「経済と財政の一体改革」でマクロ経済計画を建てて名目成長率を何%にするかなど大目標を定めてから、その大計画のなかで、消費税を何%にするか社会保障費の増大を何でまかなうべきか論じるのが正しい方法です。大枠の議論抜きで財政の一部である税と社会保障を決めるのは方法論的に間違っています。

 例えば、ある家計で医療費とパートタイム収入だけ取り上げて「医療費が増えたから奥さんのパートタイムを増やす。」とうのは一面的です。ご主人の転職の道や残業を増やす道はないか、ご主人の小遣いは減らせないか、4年生の長男への仕送りは無くなるのではないか、浪人している次男に安い学費の大学を捜す道はないか、厚生費を減らせないか、など多面的総合的に考察して家計を決めることでしょう。「医療費とパートタイム収入だけ比較して、医療費が足りないからパートを増やす。」というのは論理的ではありません。
 だいたいマクロ経済計画無しで、日本経済を指導しようとするのはおかしな話しです。短期的には復興特需を引き出してデフレを克服し、中長期的には、名目成長率4%程度の経済と財政の一体改革案を描くべきです。